再雇用

case043 満60歳の継続雇用制度について

満60歳の継続雇用制度について

Q:相談内容

 改正高年齢者雇用安定法においては、事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければならないのですか。

A:回答 <結論>

 事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければなりません。
 ただし、改正高年齢者雇用安定法が施行されるまで(平成25年3月31日)に労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主については、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められています。
 なお、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことができます。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められます。 

老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢

生年月日による区分基準適用可能年齢
昭和32年4月2日から昭和34年4月1日までに生まれた者63歳
昭和34年4月2日から昭和36年4月1日までに生まれた者64歳

【ご参考】就業規則のモデル規定は以下の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(定年)

第24条 社員の定年は満60歳とし、満60歳の誕生日の次に到来する給与締切日(誕生日が給与締切日の場合はその日)をもって退職とする。但し、本人が希望し、就業規則に定める解雇事由または退職事由に該当しない場合であって、高年齢者雇用安定法に基づく労使協定により定められた基準(以下「基準」とする)に該当する者については、65歳を限度として嘱託社員として雇用契約を締結することができる。基準のいずれかを満たさない者については、基準の適用年齢に達するまで嘱託社員として雇用契約を更新することが出来る。

2 前項の基準を適用することが可能な年齢は、生年月日に応じて定める次表右欄の年齢とする。

生年月日による区分基準適用可能年齢
昭和32年4月2日から昭和34年4月1日までに生まれた者63歳
昭和34年4月2日から昭和36年4月1日までに生まれた者64歳

3 嘱託社員として再雇用する場合は、1年以内の期間を定めて雇用契約を締結することとし、会社は当該労働契約の更新に対しては、雇用契約書に定める判断基準により更新の有無を判断する。

解説

高年齢者雇用確保措置には3つの種類があり、会社はこのうちのどれかを選ぶ必要があります。継続雇用制度の導入を選択する会社が圧倒的に多い。
1.定年の引上げ
2.継続雇用制度の導入
3.定年の定めの廃止

 継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とする制度とします。ただし、特定の人を継続雇用の対象から除外することは可能です。心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等、就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことができます。

 また、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められます。
ただし、改正法の施行(平成25年4月1日)の際、改正前の継続雇用制度の対象者を限定する基準を労使協定により設けている事業主は、平成37年3月31日までの間、当該基準を厚生年金報酬比例部分の支給開始年齢以上の者を対象に、利用することができます。

以上のことの詳細について、別紙の高年齢者雇用安定法Q&Aに詳述します。

別紙

引用 厚生労働省、「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/qa/

質問:Q1-1

改正高年齢者雇用安定法においては、事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければならないのですか。 

回答:A1-1 

事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければなりませんので、事業主が制度を運用する上で、労働者の意思が確認されることになると考えられます。

  ただし、改正高年齢者雇用安定法が施行されるまで(平成25年3月31日)に労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主については、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められています。

  なお、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことができます。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意が必要です。

(参考)老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢

平成25年4月1日から平成28年3月31日まで 61歳

平成28年4月1日から平成31年3月31日まで 62歳

平成31年4月1日から平成34年3月31日まで 63歳

平成34年4月1日から平成37年3月31日まで 64歳

引用 厚生労働省、「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/qa/

質問:Q2-2 

就業規則において、継続雇用しないことができる事由を、解雇事由又は退職事由の規定とは別に定めることができますか。 

回答:A2-2

 法改正により、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されたことから、定年時に継続雇用しない特別な事由を設けている場合は、高年齢者雇用安定法違反となります。ただし、就業規則の解雇事由又は退職事由と同じ内容を、継続雇用しない事由として、別に規定することは可能であり、例えば以下のような就業規則が考えられます。

  なお、就業規則の解雇事由又は退職事由のうち、例えば試用期間中の解雇のように継続雇用しない事由になじまないものを除くことは差し支えありません。しかし、解雇事由又は退職事由と別の事由を追加することは、継続雇用しない特別な事由を設けることになるため、認められません。 

【就業規則の記載例】

 (解雇)
第○条 従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

(1) 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないとき。
(2) 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
(3) ・・・

(定年後の再雇用)

第△条 定年後も引き続き雇用されることを希望する従業員については、65歳まで継続雇用する。ただし、以下の事由に該当する者についてはこの限りではない。

(1) 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないとき。
(2) 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
(3) ・・・                       

以上

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