有給休暇

case087 年休付与義務(5日間)の取得方法

年休付与義務(5日間)の取得方法

Q:相談内容

年休付与方法は具体的にどのようなものがありますか。

A:回答 

下記の年休付与について、以下の方法等が考えられます。

方法1
基準日に年次有給休暇取得計画表を作成する
たとえば、年度の開始時に計画年休を一括付与する方式

方法2
使用者からの時季指定を行う
取得時季について、従業員個別の意見を聴取し、使用者からの時季指定による付与する方式

方法3
年次有給休暇の計画的付与制度(計画年休)を活用する。
たとえば、年度末数か月前の取得状況をもとに、未達の従業員に計画年休を付与する方式

<解説> 

 「年5日の年次有給休暇の確実な取得~わかりやすい解説(厚生労働省)」より引用

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年5日の年休を労働者に取得させることが使用者の義務となります。

対象者
年次有給休暇が10日以上付与される労働者が対象
対象労働者には管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。

年5日の時季指定義務
使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。

時季指定の方法
使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。
また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。

時季指定を要しない場合
既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。
・「使用者による時季指定」、「労働者自らの請求・取得」、「計画年休」のいずれかの方法で労働者に年5日以上の年次有給休暇を取得させればよい
・年次有給休暇の合計が5日に達した時点で、使用者からの時季指定をする必要はなく、また、することもできません。

年次有給休暇管理簿
使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。

就業規則への規定
休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。

罰則

違反した場合には罰則が科されることがあります。

1.年次有給休暇を管理しやすくするための方法
想定される課題
人ごとに入社日が異なる事業場などでは、基準日が人ごとに異なり、誰がいつまでに年次有給休暇を5日取得しなければならないのか、細やかな管理が必要となります。

方法1
基準日を年始や年度始めに統一する
基準日より繰上げる場合は、起算日をそろえることができる
例えば、年始(1/1)や年度始め(4/1)に基準日を統一する。

方法2
基準日を月初などに統一する
入社が月の途中であっても、例えば、同じ月に採用した方の基準日を月初に統一する

2.年5日の確実な取得のための方法
方法1
基準日に年次有給休暇取得計画表を作成する

年次有給休暇取得計画表を作成するタイミング
年5日の年次有給休暇を取得させる義務を確実に履行するため、労働者が年間を通じて計画的に年休を取得できるよう、まずは基準日にその年の年次有給休暇取得計画表を作成する

方法2
使用者からの時季指定を行う

時季指定を行うタイミング
基準日から1年以内の期間内に、適時に行うことになりますが、年5日の年次有給休暇を確実に取得するに当たっては、
・基準日から一定期間が経過したタイミング(半年後など)で年次有給休暇の請求・取得日数が5日未満となっている労働者に対して、使用者から時季指定をする
・過去の実績を見て年次有給休暇の取得日数が著しく少ない労働者に対しては、労働者が年間を通じて計画的に年次有給休暇を取得できるよう基準日に使用者から時季指定をすることで、労働者からの年次有給休暇の請求を妨げず、かつ効率的な管理を行うことができます。

方法3
年次有給休暇の計画的付与制度(計画年休)を活用する。
計画年休は、前もって計画的に休暇取得日を割り振るため、労働者はためらいを感じることなく年次有給休暇を取得することができます。計画的付与制度で取得した年次有給休暇も5日取得義務化の5日としてカウントされます。

その他
時間単位年休での年休付与はできません。また、労働者が半日単位の年休取得を希望した場合には半日単位で年休を付与することもできます

以上

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