case001 急遽退職届を提出してきた社員への対応について

◆背景

・従業員の方が無断欠勤をした
・無断欠勤をした翌日、退職届を提出してきた(内容は自己都合退職)

※別紙参照…退職届・本人メモ
・ただし、会社からの貸与品の返却はなかった

(貸与品:会社から貸与した携帯電話や会社のセキュリティカード、作業着…など)

・本人から退職の書類(離職票など)をもらったら貸与品を返却する旨、退職届に記載あり

・現場での引継ぎもなく、業務に支障あり

※この従業員は昨年、居眠り運転による事故を起こしており新車を大破させた過去あり

◆対応方法(案)

<パターン①>会社に来てもらう

・会社に離職票や源泉徴収票を準備した上で、会社に来てもらうように指示

・会社に来てもらい、「退職に関する確認書(兼誓約書)」の記入を依頼

・本人から貸与品・保険証を返却してもらい、内容を確認

・内容確認後、退職書類をお渡しする

<パターン②>郵送にて処理

・会社から「退職に関する確認書(兼誓約書)」を送付

・本人に確認書を記載してもらい、貸与品・保険証と合わせて送付してもらう

・会社から退職書類(離職票など)を送付

 ※本人からの郵送到着を確認した後にするのは法律上OUT(八王子HW:星野様)

 (離職票は会社が発行する義務があるので、貸与品の到着を待って発送することはできない)

 ※郵送の場合は送ったことの記録が残る形で送付することが望ましい(

◆懸案

労基署・監督官からの回答

・「今日から会社に行かない」と言ってきた従業員に対してはどうしたらいいか?

①基本的には防ぐことは難しい(辞めると言っている人を改めて働かせるのは難しいため)

②就業規則などに基づいて懲戒解雇にする、もしくは弁護士に依頼して損害賠償請求する

(ここまでやる必要があるかどうかは会社判断による)

【ご参考】無断欠勤による懲戒解雇は比較的認められやすいものの、「今日から会社に行かない」との発言のみをもって懲戒解雇をすることは有効性リスクが高いです。

・複数回の出勤命令

・出勤に応じない場合懲戒での対処もとらざるをえないとの警告

・弁明機会の付与(書面)

を経た上で懲戒解雇を実施すべきです。

③会社として返却するものを確認できればそれでいいのではないか(自己都合であるので)

対応方法として、「退職届受理及び依頼事項」を郵送し、本人からの手続きを待つことを推奨した。

【退職届受理及び依頼事項について】(案)

1.退職届の受理

退職届を受理し、○○年〇月〇日付で退職といたします。

2.退職に伴い必要な事項

①会社に連絡をしてください。また、連絡がとれる状態にしてください。

②就業規則23条4項の規定に従い、弊社より貸与していた物品を○○年〇月〇日までに返却してください。

⇒ コメント : 就業規則では「7日以内に」となっています。

(健康保険証、会社の鍵、携帯電話機、カメラ、事務所の鍵、作業着、・・・・)

⇒ コメント : 全て漏れなく具体的に明記してください。(できれば貸与日も)

・・・別表でもかまいません。

③就業規則23条1項の規定に従い、現場での業務の引継ぎを行ってください。

3.今後の手続き

  1. 給与は支払期日に振込みます。(○○年〇月〇日付)
  2. 領収証の精算は現金で行います。
  3. また、貸与品について、期日までに返却されない場合は、横領とみなし行政庁への通報を行うことをご承知おきください。

⇒ コメント : 携帯電話は利用停止にすることを推奨します。

以上

コメント : 内容証明を取って郵送することを推奨いたします。

ご参考  就業規則・退職に関する条文(抜粋)

(退 職)

第21条 従業員は次の各号のいずれかに該当するときは、次に定める日をもって退職とする。

(1)本人が死亡したときは、死亡した日。

(2)会社に届出のない欠勤が所定の休日も含め連続14日間に及んだときは、14日に達した日。

(3)退職を願い出たときは、承認された日、又は退職届提出後14日を経過した日。

(自己都合退職)

第22条 従業員は、自己の都合により退職をしようとするときは、原則として30日前までに退職届を会社に提出し、承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない事情があると会社が判断した場合は、この限りでない。

2.退職届を会社に提出した後も、退職が決定し退職に至るまでは、従来の職務に従事しなければならない。

(退職又は解雇時の処理)

第23条 従業員は退職し、又は解雇された場合には、退職又は解雇の日までに、業務の引き継ぎを完了させるとともに、所属長の指示に従い、必要事項の引き継ぎを完全に行わなければならない。この規定に違反した場合は、懲戒の対象とする。

2.前項の定めに従わず、業務の引き継ぎを完了しない者ついては、退職金・賞与その他これに準ずる給付を行わない。

3.退職する者又は解雇された者は、自分が利用した電子メールの履歴、パソコンのデータ、業務記録など一切の業務に関連する記録を会社の許可なく削除してはならない。この規定に違反した場合は、懲戒の対象とする。

4.従業員が退職又は解雇された場合は、会社からの借入金、借入品、社員証、その他健康保険証などを、7日以内に返納しなければならない。なお、会社の施設に居住している場合も、7日以内に退去しなければならない。

5.会社は退職又は解雇する従業員に対して、会社の正当な利益を保護するために、一定の業種、職種、期間、地域を明示して、競業避止義務を課すことがある。

以上

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