case076 正しい代休の取り方について
正しい代休の取り方について
Q:相談内容
正しい代休の取り方を教えてください。
就業規則の規定
(振替休日)
第46条 業務の都合により、前条の休日を他の日と振り替えることがある。
2 前項により休日の振替えを行うときは、前日までに振り替える休日を指定して社員に通知するものとする。
(代休) 規定なし
振替休日と代休についての考え方は以下のとおりです。
現在の運用状況は以下のとおりです。
代休の運用方法と就業規則については、以下のとおりです。
※使用者労働者どちらが指定するかについては、就業規則で規定します。
代休の給与計算処理については、以下のとおりです。
A:回答
整理された内容でよいと思います。
また、就業規則については、「代休」の規定を追加することを推奨します。
規定例
(代休)
第47条 業務上の必要により休日出勤をした場合は、代休を与えることがある。2 前項の代休は、休日勤務した日から1カ月以内の取得を原則とする。
<解説>
■振替休日と代休の違いは何か。
「休日の振り替え」とは、予め休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。これにより、予め休日と定められた日が「労働日」となり、そのかわりとして振り替えられた日が「休日」となります。従って、もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。
一方、いわゆる「代休」とは、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。従って、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。
(厚生労働省HP 「振替休日と代休の違いは何か。」より引用しています)
代休も振替休日も労働基準法上の用語ではないのですが、通達等で、一般的な考え方が示されています。休日労働をした結果設定されるのが「代休」、あらかじめ休日を休日でなくした結果設定されるのが「振替休日」です。
この代休か振替休日かは、割増賃金のことで問題となることが多いです。つまり、代休と振替休日では、割増賃金の支払いに違いがあるからです。
まず、「休日」については、労働基準法では、毎週少なくとも1回または4週間に4回以上与えることとされています。ほとんどの会社では、週に1日以上の休日を設けていますので、このうちの週に1日の休日が「法定休日」ということになります。
週休2日制の場合、2日とも「法定休日」と考えるのではなく、どちらか1日を法定休日とすれば問題ありません。ちなみに、もう一方の休日は「所定休日」となります。
【備考】就業規則上必ずしも法定休日を曜日で特定する必要まではありません。
割増賃金についてですが、休日労働をした結果設定されるのが代休で、代休の前提は「休日労働」ということになります。よって、その前提である休日が所定休日の場合には、週当たり40時間を超える時間数について25%以上の割増賃金を支払う必要があり、一方、法定休日の場合には35%以上の割増賃金を支払う必要があります。
代休を設定するためには休日労働が行えるように、就業規則等に休日労働を行わせることがあることについて規定する必要があり、36協定を結んでおく必要があります。
また、振替休日を設定する場合には、あらかじめ休日を振り返ることがあることについて、就業規則等に規定しておく必要があります。
(山梨労働局「代休?振替休日?」より引用しています)
代休の付与方法について
代休を与えなければならないという法律上の義務はありませんが、代休を与えることは望ましいとされています。代休の付与のしかたついても、法律上で規定はなく、会社の就業規則に規定することになります。また、代休に有効期限はありません。しかし、会社の就業規則で代休の有効期限を定めることは可能です。
労働者が、代休を希望する日を申請して、会社側が申請を認めた場合に代休を取ることが可能となります。しかし、かならずしも本人の希望した日に代休が取れるとは限りません。仕事の状況や他の労働者に配慮し、本人と相談して認めることになります。
【備考】少なくとも就業規則において使用者から代休日を一方的に指定できる規定を整備したほうが労務管理に資することになります。
以上