case016 試用期間の長さについて
Q:相談内容
試用期間の長さはどのぐらいが適当ですか
A:結論
試用期間の長さは、実務上は3ヵ月から6ヵ月の期間が設定されることが多いです。
解説
試用期間の長さについて、制限する法令はありません。原則として、使用者と社員の合意により自由に設定できます。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の実態調査によると、試用期間を設けるかどうかについては、86.9%の企業が「ある」と回答しています。また、試用のルールを定めているのは、「就業規則」が 79.2%ともっとも多く、次いで、「その他の社内規程」(9.3%)、「労働協約」(8.8%)となっています。
試用期間の長さについて、同調査によると、「3 ヵ月程度」が 66.1%ともっとも割合が高く、次いで「6 ヵ月程度」が 18.3%、「2 ヵ月程度」が 8.4%などとなっています。(正規従業員、新規学卒者、「新規学卒採用がない」、無回答を除き集計。(図表 2-3-4))
一方、あまりに長期の試用期間を設けた場合、公序良俗違反で無効(民法90条)となる可能性もあります。試用期間中の社員は、本採用後の正社員と比べて不安定な地位にあるため、合理的な理由もなくあまりにも長期間の試用期間を定めることは、試用期問中の社員に不利益を与えることになりうるためです。
試用期問としてどの程度の期間までが認められるのでしょうか。
裁判例では、
①1年の試用期間を肯定した事例(大阪読売新聞社事件 大阪高裁 昭45.7.10判決)。
②6ヵ月から1年3ヵ月の見習社員期間の終了後、さらに6ヵ月から1年の試用期間が課されたものが無効された事例(ブラザー工業事件 名古屋地裁 昭59. 3.23判決)。
があります。この事例からすると、1年程度までであれば、試用期間の設定として有効ではないかと推察されます。
以上