解雇通知書

case082 無断欠勤が続いていた社員について

無断欠勤が続いていた社員について

Q1:相談内容1

労務の込み入った事象が発生しましたので、相談したくメール致しました。

■事実
・新規にパートタイム労働者を雇い入れ、初出勤日の06/05より3ヶ月契約で有期雇用契約を締結。同日付で雇用保険と社会保険の資格取得を貴事務所に依頼した。

・06/08に出勤した後、次の出勤日である06/12に体調不良で欠勤する旨連絡があったが、その後で連絡が途絶し、無断欠勤が続いている。

・弊社からは何度もメールや電話で本人にコンタクトを取ったが連絡はついていない。

・親御さんや、本人が起居しているシェアハウスの同居人とはコンタクトが取れ、本人の生存は確認できた。

■会社がやりたい事
・親御さんに電話したり、本人の自宅を訪問する等の手を尽くしたので、このパートタイム労働者を解雇したい。

■貴事務所にご指導頂きたい事
質問1.入社から14日を過ぎているし、有期労働契約が2ヶ月超なので、労基法20条1項本文により本件の様なケースでも解雇日から1か月前の解雇予告通知書が必要になりますか?

質問2.本件のケースにおいて即時解雇または解雇予告後の解雇の何れかを実施した場合、ハローワークの求人使用不能や、これから申請する雇用系の助成金の申請不能等ペナルティは発生しますか?

質問3.本件の様に有期労働者と音信不通になった場合、契約期間満了で退職となると社会保険料の支払いは発生し、かつ本人からの回収の目処は無いとなりますが、やはり連絡を取って自己都合退職とするしかないのでしょうか?
また、本人から何の音沙汰もない場合、ずっと給与を支払わず、最終的に社会保険料3ヶ月分を相殺してしまって良いのでしょうか。

A1:回答 

ご質問1
「入社から14日を過ぎているし、有期労働契約が2ヶ月超なので、労基法20条1項本文により本件の様なケースでも解雇日から1か月前の解雇予告通知書が必要になりますか?」

はい、必要になります。
但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでありません。
なお、本件の場合、解雇よりも退職勧奨とすることを推奨いたします。退職勧奨にあたり、 『欠勤に関するご確認』と退職届雛型と返信用封筒を特定記録郵便にて労働者へ郵送して ください。

ご質問2
本件のケースにおいて即時解雇または解雇予告後の解雇の何れかを実施した場合、ハロー ワークの求人使用不能や、これから申請する雇用系の助成金の申請不能等ペナルティは発生しますか?

1. 原則として助成金は、解雇日以降の6ヶ月間、もらえなくなります。
2. ハローワークでの求人は、原則として制限されません。

ご質問3
本件の様に有期労働者と音信不通になった場合、契約期間満了で退職となると社会保険料の支払いは発生し、かつ本人からの回収の目処は無いとなりますが、やはり連絡を取って自己都合退職とするしかないのでしょうか?また、本人から何の音沙汰もない場合、ずっと給与を支払わず、最終的に社会保険料3ヶ月分を相殺してしまって良いのでしょうか。

契約期間満了まではまだ期間があるようですので、自然退職扱いとすることが良いと思います。ただし、無断欠勤が継続した場合、自然退職とする旨を就業規則に定めておく必要があります。
なお、本人から退職の意思表示がない以上、自己都合退職とすることはできません。また、正当な理由なく無断欠勤が2週間以上続き、会社側の出勤の催促に応じない場合には、解雇することは可能です。ただし、30日以上前に解雇予告をするか、解雇予告手当を支払うこととなります。この場合、本人への通知が必須なため、この段階でも連絡がつかない場合は、簡易裁判所を通して公示送達を行うといった対応が必要です。

社会保険料の徴収ができないようであれば、社保加入を遡及して取消すことを推奨いたします。

その後の対応

Q2:相談内容2

本日電話した、弊社無断欠勤パート社員への内容証明郵便についてご指導頂きたく、メール致します。
宜しくお願い致します。

◆現状
・貴社よりご指導頂いた通り、添付した『欠勤に関するご確認』と退職届雛型と返信用封筒を特定記録郵便にて労働者自宅へ郵送しました。

◆内容証明郵便について
・書類を添付しました。

・上記の『欠勤に関するご確認』に対して何らのリアクションが見られない場合、来週中頃に労働者へ内容証明郵便を郵送する予定です。

・私が書類を書いていて自分で気になった点は二点。

1.本人からは口座振替同意書を署名捺印貰ったが、一方的に直接払いに変更して良いのか。

A2:回答 

ご質問の1につきましては、通常の支払日に口座振替をしなければなりません。

内容証明郵便についてのコメントを添付いたします。

以上


 欠勤に関するご確認 

yyyy年mm月dd日

 ○○ ○○ 様

株式会社○○○○
○○ ○○

拝啓  時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 

 この度は○○様にご質問したいことがあります。

 ○○様は6月7日を最後に弊社への出勤をされておりません。

 弊社より何度か電話やメールをさせて頂いてはおりますが、○○様からは6月11日と6月12日に体調不良を理由に欠勤する旨の連絡があった以外は、欠勤の理由についてはご連絡を頂いていないと思っております。

 6月28日に弊社から○○様宛に「6月29日に直接会って話をできないか」というメールに対して、○○様のメールの返信は、「6月29日に日雇いの仕事を入れているために会うことができない」旨の返信があったと伺っております。

 このまま無断欠勤が続きますと、就業規則の規定に基づき解雇又は自然退職ともなりかねませんことをご承知おきください。

 もし自己都合での退職となりますと、「退職の意思表示」「貸与物の返却」などの諸手続きを○○様に行って頂いた上で、弊社でも退職の諸手続きを進めて参ります。

 退職の意思表示については、退職届の書式と返信用封筒を同封いたしましたので、同封物を用いて弊社までご返信ください。

 その後に○○様への貸与物をどう返却していただくかご相談させて頂きつつ、退職事務手続きを進めてまいります。

 いずれにしましても、本状到達後3日以内にご連絡頂くか、返信用封筒にて書面を発送して下さい。

以上、よろしくお願い致します。

敬具


〒999-9999

東京都○○市○○9丁目99番99号

○○ ○○殿

通  告  書

 当社と貴殿は、令和元年6月5日に3か月間の嘱託・パート社員雇用契約を締結しましたが、貴殿は6月7日の出勤を最後に欠勤が続いており、貴殿からの欠勤の理由の連絡も6月11日と6月12日を除いて受けておりません。

 また、7月3日付で当社より発送しました「欠勤に関するご確認」という書面による通知に対しても、何らご回答いただいておりません。

 つきましては、給与支払日の7月25日にご来社いただき、給与をお渡しする際に、併せて事情の説明をしていただきます。7月25日以降であれば、いつでも給与をお支払いする準備をしておりますが、ご来社の際には事前にご連絡ください。

 なお自己都合にて退職される場合、退職の意思表示を書面にて提出の上、当社からの貸与物の返却をお願いします。

いずれにしましても本書面到達後1週間以内に来社日の相談または自己都合退職の意思表示をご連絡いただくか、先日送付した返信用封筒にて書面を発送して下さい。

 本状に対する意思表示のない場合、自己都合退職の意思があるものとみなし7月○日付※で退職の手続きを取らせていただきます。

※「7月○日付」到着後1週間経過後の日付としてください。

令和〇年7月○日

〒999-9999

東京都○○市○○9丁目99番99号

株式会社 ○○○○

代表取締役 ○○ ○○

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