case029 裁量労働制に関して
Q:相談内容
弊社の○○テクニカルセンターという部署では専門型裁量労働制を導入しており、添付の労使協定、運用マニュアルを基に運用しております。
その取り扱い上で質問点が2つございます。
1、休憩時間について
労基法上は、
①6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分
②8時間を超える場合は、少なくとも1時間
という条文があると私も認識しております。
弊社では、マニュアル上昼休憩1時間+任意休憩30分という休憩を設定しております。
裁量労働制を導入する上で、任意休憩30分というのは、社内で設定したと思いますが、法律
や通達などで、裁量労働を実施する上で任意の休憩を取得するべき根拠というものはございます
か?
2、36協定の休日と時間外の上限
36協定上で時間外の上限45時間/1か月と届けております。
ただ、所定休日として36協定上、土日としており、就業規則をみると、「休日は、勤務カレン
ダーのとおりとする」という記載があるのみで、法定休日、所定休日の区分が曖昧となっており
ます。
(1)上記の様な場合、法定休日はどの様に考えるのでしょうか?
厚労省の質疑応答にあるとおり、「法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の
日曜日及び、土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日におけ
る労働が法定休日労働となる」と解釈するのでしょうか?
(2)36協定にある45時間の上限に対し、休日労働は含めるのでしょうか?
通常、所定休日は含めて、法定休日は含めないと認識しておりますので弊社の状況によると、
どの様に理解すれば宜しいのでしょうか?
Q:結論
1.休憩時間について
裁量労働制において、特段、任意休憩を取得すべき根拠はございません。
2.36協定の休日と時間外の上限
(1)法定休日について
法定休日を特定していない場合、土日どちらを法定休日とするかは、会社が指定することができま す。
土日のいずれかに出勤した場合は、休んだ方を法定休日とすることができます。
土日とも出勤する場合、どちらを法定休日とするかは、会社が指定することができます。
(2)45時間の上限に休日労働は含めるか
上記(1)において、法定休日とした日は含めず、法定休日としなかった日(所定休日)
は含めることになります。
解説
1.休憩時間について
労働基準法第34条で、労働時間が
6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分
8時間を超える場合は、少なくとも1時間
の休憩を与えなければならない、休憩時間の下限は法律で決められていますが、多めに与えることに ついての法律的な規定はありません。当然、法律的な問題もありません。
2.36協定の休日と時間外の上限
(1)法定休日について
労働基準法では原則として、使用者は労働者に対して毎週少なくとも1回休⽇を与えなければならないとされています。このため、「法定」休⽇とは、1週間につき1⽇の休⽇のことをいいます。「休⽇労働」は、法定休⽇に労働させることをいいます。
一般に、週休2日制としている会社が多いですが、例えば、土曜日と日曜日が休日の場合、法定休日は日曜日に限定されることはなく、法定休日は会社が任意に定めることができます。就業規則で曜日を特定することも可能ですし、曜日を特定しないことでも問題ありません。
就業規則で法定休日の曜日を特定した場合、特定した曜日が法定休日となります。
毎週⼟曜・⽇曜を所定休⽇、そのうち⽇曜を法定休⽇と定めている事業場のケースであれば、⼟曜⽇に労働した時間は「法定」休⽇労働には該当せず、⽇曜⽇に労働した時間が「法定」休⽇労働となります。なお、⽉曜〜⼟曜までに労働した時間が40時間を超えていた場合には、超えた時間は「時間外労働」にカウントされます
逆に、法定休日の曜日を特定しない場合、土曜日と日曜日のいずれが法定休日となるのでしょうか。
厚生労働省は、この取扱いについて、下記に規定しています。
~改正労働基準法に係る質疑応答(平成21年10月5日)~
「法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる。」
なお、土曜日と日曜日のいずれか一方のみ出勤した場合は、いずれの日を法定休日として取り扱うかの明確な法規定や通達はありません。会社は任意に法定休日を定めることができます。
(2)45時間の上限に休日労働は含めるか
36協定(残業協定)を締結するときに限度時間が決められています。
1週間 15時間
1ヶ月 45時間
1年 360時間
しかし、その時間には、休日に労働した時間は含まれません。
なお、休日に労働時間には、35%以上の割増し賃金を払わなければなりません。
以上