case003 退職が決まった者に対して就業拒否することは可能か
試用期間中の解雇について
Q:相談内容
3月末に退職が決まっている社員についての質問です。
引継ぎは終わっていて、会社としては出社の必要がないのですが、本人は有休を取らずに、出社すると言っています。開発部門の社員で、会社の秘密情報にアクセスできる権限があり、情報漏洩を心配しています。
【ご参考】事業所に残している私物回収を理由として出社を求める場合もあります。
①担当者立会いのもと私物回収のための出社は認める
②出社は拒み会社で梱包のうえ送付する
2パターン考えられますが、「あったはずのものがない」「破損している」などのトラブル誘発の可能性があるため①をとるのが穏当ではあります。
その場合、
① 出社しないことを会社が命じることはできますか。(給与は支給する)
② 上記①ができなければ、秘密情報にアクセスする権限をとりあげてもよいですか(IDの削除など)
以上、ご教示のほど、よろしくお願い致します。
A:回答 <結論>
結論から申し上げますと、出社しないことを命じることは可能です。
労働者が、自己を実際に就労させることを請求する権利を「就労請求権」といいますが、原則としては、これは法的には否定されています。
【ご参考】例外として技能の維持の必要等が認められる場合に就労請求権を肯定している判例もあります。
そのため、本人がいくら出社して働きたいと言ってきても、会社は拒否することができます。
どうしても従わない場合には、自宅待機命令書を交付して、会社への立ち入りを禁じる必要があります。
勝手に侵入するなどして情報を持ち出される懸念があるのであれば、アクセス権限を削除しておいてもよいと思います。
以上