case022 年齢を偽っていた

Q:相談内容

 以下の者について、年齢を偽っていたことが判明した。
対処方法を教えてほしい。

<本人の情報>
○○ ○○  平成●年6月11日入社 (在籍 20年7か月)
本来の生年月日  昭和29年1月19日 (判明時 63歳11か月)
会社に申告した生年月日 昭和33年1月19日 (判明時 59歳11か月)

<現在の状況>
・年金手帳は、入社時に新たに作成し2通持っている。
・退職金 中退共に入社時から現在まで加入している。
・給与  本来の年齢で、60歳を過ぎてからも定期昇給を行っている。

A:結論

 以下のような対応が必要と思われます。

1) 年金について、本人から、年金手帳を1本にまとめる訂正手続を行わせてください。
2) 中退共に払い込み過ぎた分を会社に返還してもらうことはできません。
  ただし、会社と本人との話し合いで、本人から会社に返還することを求めることはできます。
  ※就業規則では、定年(60歳)再雇用された場合は、60歳で退職金を支払い、再雇用後の退職金はない規定になっています。
3) 給与の過払い相当分について、過去2年間(時効未成立分)に遡って、定期昇給相当分(60歳到達時の給与との差分)を本人から返還することを求めることができます。
4) 懲戒処分について
採用時の年齢詐称については、
① 懲戒解雇とするのは難しい。
② 減給や出勤停止とすることは不可能ではないと思われます。
③ 退職勧奨とする懲戒では少し重いかもしれません。
(入社から20年以上経過していることから、会社側の責任をある程度考慮する必要があるため)
なお、本来であれば、4年前に60歳で定年退職後嘱託社員として65歳まで再雇用となります。

  <就業規則では>
  下記のように規定されています。

(譴責・減給・出勤停止・降格)第53条 従業員が次の各号の一に該当する場合は、その情状に応じ、譴責・減給・出勤停止・降格のいずれかに処する。
⑧ 届出書、報告書等の届出を怠り、または偽ったとき

(懲戒解雇)第54条 従業員が次の各号の一に該当する場合は、懲戒解雇に処する。但し、情状に応じ、諭旨退職・降格・出勤停止・減給・譴責のいずれかにとどめる場合がある。
⑥ 重要な経歴を偽って採用されたとき

(定年)第22条 従業員の定年は満60歳とし、満60歳の誕生日をもって退職とする。定年後の再雇用制度については、別途定める定年後の再雇用制度に関する規程、および労使協定により65歳を限度として嘱託社員として再雇用する。ただし、規程に定める基準のいずれかを満たさない者については、基準の適用年齢に達するまで嘱託社員として再雇用する。

以上

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