case098 半日単位年休を採用する場合の就業規則について
半日単位年休を採用する場合の就業規則について
Q:相談内容
半日単位年休を採用する場合の就業規則について教えてください。
就業規則の例
例1 (半日単位年休)
第○条 従業員は、会社に事前に申請した場合、半日単位で年次有給休暇を取得することができる。ただし、半日単位の取得は年度あたり▼回を限度とする。
2 前項に基づき、半日単位で取得した場合の始業時刻及び終業時刻は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1)前半休…午後2時から午後6時まで
(2)後半休…午前9時から午後1時まで
例2 (半日単位年休)
第○条 会社は、年次有給休暇を午前と午後の半日ずつに分割して付与することができる。従業員が半日単位年休を取得したときは、0.5労働日の年次有給休暇を取得したものとして取り扱う。
解説
※半日単位の年休取得について
年次有給休暇は日単位で取得することが原則ですが、労働者が希望し、使用者が同意した場合であれば、労使協定が締結されていない場合でも、日単位取得の阻害とならない範囲で半日単位で与えることが可能です。
今回の改正後も、半日単位の年休については取扱いに変更はありません。
また、事前に年次有給休暇を買い上げて労働者に休暇を与えないことは法違反となります。
なお、年次有給休暇の請求権は、消滅時効が2年間であるため、前年度分について繰り越す必要があります。
半日単位の年次有給休暇との関係についてのQ&A
Q:相談内容
半日単位の年次有給休暇についても、改正後は年5日以内としなければならないのですか。また、半日単位の年次有給休暇を取得した場合に、時間単位年休の残りの時間数はどうなりますか。
A:回答
半日単位の年次有給休暇は、時間単位年休とは異なるものです。今回の改正で取扱いを変更するものではありません。また、半日単位の年次有給休暇を取得しても、時間単位で取得できる時間数に影響を与えるものではありません
この半日単位の有給取得制度(以下「半日有給制度」とする)は、労働基準法などの法律に具体的規定はありません。したがって、企業に半日有給制度を導入する義務はなく、また導入するよう努力する義務もありません。つまり、半日有給制度は、法律上の制度ではなく、企業の承認が前提で導入される任意の制度ということとなります。
半日有給制度を採用する場合は、その旨を企業のルールとして就業規則に定めておく必要があります。その際、次の注意点があります。
労働者の利益を損なうルールを設けることは許されません。たとえば、半日の有給を1日の有給として取り扱うこと、など。あくまでも、半日の有給で0.5日を消化したものとし、2回の取得をもって、1日の消化と取り扱う必要があります。
半日有給制度で、半日をどこで区切るかについて、「半日」の定義や半日単位の区分を就業規則に定めておく必要があります。半日の定義として、次の2つがあります。
●午前・午後で区分する
●1日の所定労働時間を2で割る
なお、通常はこちらの方法をとるほうが午前・午後いずれに取得するかで有利不利が生じず適切な方法である場合が多いです。
半日有給を取得したその日に残業した場合の賃金の支払いはどうなるかについて、終業時刻を過ぎて仕事をしていた場合、実際の労働時間が8時間を超えない限り、割増賃金を支払う必要はないとされています。
次ページに、広島県『働き方改革取組マニュアル・事例集 「取組アイデア編」』を紹介します。
広島県『働き方改革取組マニュアル・事例集 「取組アイデア編」』より引用
【取組テーマ:②年休取得の促進・休暇 編】
2.半日・時間単位年休の導入
年次有給休暇は1日まるまる休むというのが原則ですが、従業員が有効に活用できるようにするため、条件等を満たせば半日または時間単位でとってもらうこともできます。従業員のニーズを確認しながら、半日・時間単位の柔軟で機能的な休暇制度を導入することで、年休取得率が高まり、従業員の満足度向上につながります。
《県内の実践企業での主な成果》
・ バリエーションを増やして個々の状況に応じた休暇取得が可能になったことで、年休取得率が高まり、従業員から好評価を得ることができた。
このような企業にオススメ!
□年休取得率を高めたい
□従業員の短時間の私用に対処したい
□従業員のワーク・ライフ・バランスを大切にしたい
■標準手順■ 半日・時間単位年休制度の導入ポイント
【ステップ1】それぞれの制度のメリットや制約事項を確認します
【ステップ2】社内ニーズを確認して制度を導入し、周知します
アンケートや直接ヒアリングで従業員のニーズを確認し、適した制度を導入しましょう。
■企業実践事例■株式会社マイティネット(情報通信業/従業員 290 名/広島市)
■半日・時間単位年休の導入はルール設定が重要です。従業員は日単位での取得を希望しているのに、管理者が「忙しいから」といって半日・時間単位で休暇をとるように強制することはできません。現場が混乱しないよう、制度が適用できる・できない事例を社内で共有することが必要です。管理者や従業員と一緒に、様々なケース事例を検討してみましょう。
以上
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