遅刻

case051 遅刻・早退へのペナルティーについて

遅刻・早退へのペナルティーについて

Q :相談内容

弊社の「遅刻・早退」について規定では、「所定の手続きにより所属長に届けなければならない」としか記載していません。現在、体調不良を理由に遅刻出社する頻度の高い者がおります。担当管理者は、ペナルティーも課さず、言われるままに認めていたようで、社長からは甘すぎると厳重に注意をしました。
以前勤めていた会社では、遅刻をすれば欠勤扱いとなり、査定に響くということで有給休暇を充当し、処理していました。時代も変わりましたが、一般的にどのような形のペナルティーを課すのが妥当か教えていただければ幸いです。

A:回答

遅刻、早退した者へのペナルティーを規定(内規)し周知・実施することを推奨いたします。
①遅刻、早退した時間を賃金から控除すること
②遅刻、早退の頻度によっては、理由書、あるいは、始末書を提出させること
③遅刻・早退が度重なる場合には、譴責、減給等の処分を行うこと、また
④賞与の査定にも反映すること、
⑤よほどの事情(意識不明で連絡ができない状態だった等)がない限り年次有給休暇の後振替を認めないこと(年次有給休暇は労働開始前に行使されるのが原則であり、事後的な申請を認めません。)

【ご参考】標準的な規定として、モデル規定から抜粋したものを下記に示します。

・懲戒に関して、第8章第2節(懲戒)に規定しています。
・それの根拠となる服務規律を第3章第1節(出退勤)に規定しています。
・また、遅刻、早退などの場合の賃金からの控除について、モデル賃金規定の第4条(賃金の計算方法)に規定しています。

<就業規則の例>

第3章 服務規律
第1節 出退勤
(出退勤)
第30条 社員は出勤及び退勤について、次の事項を守らなければならない。
① 始業時刻と同時に業務を開始できるように出勤し、終業後は特別な用務がない限り遅滞なく退勤すること。
(略)
(遅刻、早退及び私用外出)
第31条 社員が遅刻、早退または私用外出しようとするときは、所定の手続きにより所属長に届け出なければならない。
2 社員の責に帰することのできない事由による遅刻の場合は、それを証明するものがあり、かつ会社が認めたときは遅刻の取り扱いはしない。
(欠勤)
第32条 社員が病気その他の事由により欠勤するときは、所定の手続きにより、事前に所属長に届け出なければならない。
(略)
(無許可欠勤)
第33条 正当な理由なく、事前の許可を得ず、また、当日の午前中までに会社に連絡せず欠勤した場合は、無許可欠勤とする。また、届出のある欠勤、会社に連絡があっての欠勤であっても、正当な理由が認められないものについては、同様とする。
2 前項の欠勤をした場合、第52条による年次有給休暇への振替は認めない。ただし、本人からの請求に基づき、会社が承認した場合はこの限りではない。
(略)

第8章 表彰及び懲戒

第2節 懲戒
(懲戒の種類)
第63条 懲戒の種類は、情状により次のとおりとする。
① 譴  責 始末書を取り将来を戒める。
② 減  給 始末書を取り1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1以内で賃金を減給する。
③ 出勤停止 始末書を取り14日を限度として出勤の停止を命じ、その期間の賃金は支払わない。
④ 降  格 始末書を取り、役職を解任もしくは降職し、または、等級を下位の等級に変更し、それに伴い賃金の減額を行う。
⑤ 諭旨退職 退職届を提出するように勧告する。なお、勧告をした日から7日以内に退職届の提出がない場合は懲戒解雇とする。
⑥ 懲戒解雇 予告期間を設けることなく即時解雇をする。この場合、労働基準監督署長の認定を受けた場合は解雇予告手当を支給しない。

(譴責・減給・出勤停止・降格)
第64条 社員が次の各号の一に該当する場合は、その情状に応じ、譴責・減給・出勤停止・降格のいずれかに処する。
① 正当な理由なく、無許可欠勤したとき(届け出があっても、正当な理由なく会社が承認しない欠勤を含む)
② 正当な理由なく、しばしば欠勤、遅刻、早退をし、またはみだりに任務を離れる等誠実に勤務しないとき
(略)
(懲戒解雇)
第65条 社員が次の各号の一に該当する場合は、懲戒解雇に処する。但し、情状に応じ、諭旨退職・降格・出勤停止・減給・譴責のいずれかにとどめる場合がある。
① 正当な理由がなく無断欠勤14日以上に及んだとき
(略)

<就業規則の例>

(賃金の計算方法)
第 4 条 欠勤、遅刻、早退、私用外出、および育児・介護短時間勤務の時間については、基準内賃金(通勤手当を除く)および固定残業手当を1ヶ月の平均所定労働時間で除して算出する1時間当たりの賃金額に欠勤、遅刻、早退、私用外出、および育児・介護短時間勤務の合計時間数を乗じた額を控除するものとする。
2 1給与計算期間のすべてにわたって欠勤したときは、如何なる給与も支給しない。

以上

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