再雇用

case045 継続雇用制度を導入する場合は希望者全員を対象としますか?

継続雇用制度を導入する場合は希望者全員を対象としますか?

Q:相談内容

継続雇用制度を導入する場合は希望者全員を対象としますか?

A:回答

高年齢者雇用確保措置には以下の3つの種類があり、会社はこのうちのどれかを選ぶ必要があります。そして圧倒的に多いのは継続雇用制度の導入です。
1.定年の引上げ
2.継続雇用制度の導入
3.定年の定めの廃止

継続雇用制度を導入する際の対象者の基準は以下のとおりです。

 継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とする制度とします。
ただし、特定の人を継続雇用の対象から除外することは可能です。
心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことができます。

 就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできます。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができます。
なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは本法律の趣旨にそぐわないおそれがあります。
 また、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められます。

平成25年3月31日までは、事業主は、事業所に、過半数労慟組合(過半数労慟組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導人したときは、継続雇用制度を導入したものとみなすものとしていましたが、この仕組みは廃止されました。
ただし、改正法の施行(平成25年4月1日)の際、改正前の継続雇用制度の対象者を限定する基準を労使協定により設けている事業主は、平成37(令和7年)年3月31日までの間、当該基準を厚生年金報酬比例部分の支給開始年齢以上の者を対象に、利用することができます。

詳細について、別紙の高年齢者雇用安定法Q&Aに詳述します。

以上


別紙

引用 厚生労働省、「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/qa/

質問:Q1-1

改正高年齢者雇用安定法においては、事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければならないのですか。 

回答:A1-1

事業主が高年齢者雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければなりませんので、事業主が制度を運用する上で、労働者の意思が確認されることになると考えられます。

  ただし、改正高年齢者雇用安定法が施行されるまで(平成25年3月31日)に労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主については、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められています。

  なお、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことができます。 ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意が必要です。

(参考)老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢

平成25年4月1日から平成28年3月31日まで 61歳

平成28年4月1日から平成31年3月31日まで 62歳

平成31年4月1日から平成34年3月31日まで 63歳

平成34年4月1日から平成37年3月31日まで 64歳

引用 厚生労働省、「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/qa/

質問:Q2-2

就業規則において、継続雇用しないことができる事由を、解雇事由又は退職事由の規定とは別に定めることができますか。 

回答:A2-2

法改正により、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されたことから、定年時に継続雇用しない特別な事由を設けている場合は、高年齢者雇用安定法違反となります。ただし、就業規則の解雇事由又は退職事由と同じ内容を、継続雇用しない事由として、別に規定することは可能であり、例えば以下のような就業規則が考えられます。

  なお、就業規則の解雇事由又は退職事由のうち、例えば試用期間中の解雇のように継続雇用しない事由になじまないものを除くことは差し支えありません。しかし、解雇事由又は退職事由と別の事由を追加することは、継続雇用しない特別な事由を設けることになるため、認められません。 

【就業規則の記載例】

 (解雇)
第○条 従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

(1) 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないとき。
(2) 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
(3) ・・・

(定年後の再雇用)
第△条 定年後も引き続き雇用されることを希望する従業員については、65歳まで継続雇用する。ただし、以下の事由に該当する者についてはこの限りではない。

(1) 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないとき。
(2) 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
(3) ・・・                       

以上

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