case010 能力不足の社員の対応をどうすればよいですか
Q:相談内容
下記のような能力不足の無期雇用契約社員への対応をどうすればよいですか
21才、(H27.4.1入社)
能力が低いが、解雇までは考えていない
以前、工場長に幼少期に発達障害があったと打ち明けたことがある。(現在は不明)
A:結論
前提として、能力不足やミスマッチを理由とした解雇は「かなりハードルが高い」という認識を持ってください。
<能力不足やミスマッチの見える化と改善努力>(要約版)
適正な目標を設定したり、具体的な指示もして時間も十分与えて仕事をさせてみたりするなど、能力・適性の有無が目に見えるようにするため、以下のような対応策が必要です。
●対応策1 認識を共有化する
まずは、社員の能力不足を明確化し、企業と能力不足社員の認識を共有します。そのため、企業が社員に求める労働能力を文書化して労働者に交付する。
なお、能力不足について、5W1Hに基づく具体的エピソードや具体的数値に基づく裏付けにより明確化することが重要です。この観点抜きに評価(形容詞)のみによりまとめられた「能力不足」はおよそ裏付けとして使えません。また、社員に求める労働能力については、具体的なルールや業務手順、目標数値を示すことが肝要です。
●対応策2 改善努力を促す
次に、能力不足社員に対し、その不足する能力の改善努力を促すべきです。このためには、3ヵ月間や6ヵ月間など期間を区切った改善指導を実施し、その間は、1~2週間に1度チェックした結果を本人にフィードバックして自覚させる。ご参考までに、業務日報をつけさせ日々コメントするという方法もあります。
※「正社員としての適格性」=「(会社が)期待する水準」を明確にし、それに達したか否かを意識的にチェックさせます。これによって会社も当該社員もその水準に達したか否かを明確に認識できて、労働紛争のリスクが低くなります。
<改善しない場合の対処>
能力不足社員が改善努力をしても許容範囲に達しなければ、場合によっては退職勧奨、解雇等により退職することも考えざるを得ないでしょう。
退職勧奨や解雇までの決断がつかない場合には、職務を簡易なものに変更し、待遇もそれに見合うものとすべきです。降格命令を行い、降格命令でも達成できなければ、個別の同意を待って変更すべきです。
以上
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