case009 社員を辞めさせたい

Q:相談内容

 社員を採用したが労務の提供が不完全なので辞めさせたい

◆背景
・人材紹介で紹介された30歳の男性を採用し、平成29年〇月〇日に入社
・某メーカのディーラーでサービスエンジニアの経験が3年ある
・ミスが多く、そのミスを隠す傾向にある
・メンタルが弱く、ネガティブな発言が目立つ
・他の社員から「継続させるのは難しい」「辞めさせた方が良い」との声が多い
・ミスをした際の始末書などの記録はしていない
・これまでどういうミスがあったか、現在まとめ中
◆社長より
・このまま継続させたくなく、早く辞めさせたいので、合法的なやり方を教えて欲しい

A:結論

※「解雇」と「退職勧奨」の違いは、
「解雇」は,雇用主の一方的な意思によって従業員を退職させることです。
「退職勧奨」は,雇用主が従業員に退職を促すことで、従業員がこれに応じて、はじめて労働契約が終了します。


問題のある社員でも「解雇」にすることは非常にむずかしいです。訴訟になった場合には、よほど強い理由がなければ負けます。
したがって、「退職勧奨」をすることをお勧めします。「退職勧奨」とは、「これだけの問題を起こしているのだから辞めたらどうですか?」と社員に語りかけることです。

「退職勧奨」面談時の心構え
1.導入部分では、世間話などはせずにダイレクトに本題に入ってください。
 なお、「解雇ではない。」「あくまで合意退職の打診であり、応じるかどうかはあなたの自由で  す。」との説明は必須です。
2.就業規則、証拠(始末書、事故報告等)を見せながら、一つ一つ事実確認をしてください。
3.必要事項の伝達が完了したら、残りは本人に話をさせてください。
4.威圧的な態度や、乱暴が言葉づかいは避けてください。(録音されている可能もありますので)
5.「申し訳ない」「すまない」は禁句です。同情的な態度もNGです。
6.明確になっていることをハッキリと断言し、個人的な見解は慎んでください。
7、未確認事項や判断できないことは憶測や推量で答えず、後日正確に返答してください。
8.「解雇扱いにしてくれるなら応じます」と返答があったときの切り返し
 解雇にはできないが、退職勧奨による会社都合退職なので失業保険給付受給は早期に可能であることを伝えてください。
9.感情的になった場合は、面接を一旦打ち切り、次回の日程を決めて終了してください。
 提示した退職条件について、「この条件をご提示できるのは●月●日までとなります。退職に応じられる場合には同期限までにご返答ください。」と締め切り効果をうまく使うということが重要となります。
10.書記を同席させ、議事録を取ってください。さらに、本人の同意のもと録音することを推奨します。

事前に準備、ご検討いただくこと
1.前段項番2の証拠を準備してください。日時、ミスの内容、言動などをまとめください。
2.「退職勧奨」の場合、解雇予告手当(給与1か月分相当)は法的には不要ですが、状況によっては、解雇予告手当相当額、あるいは、退職金を会社都合扱いにする等を検討することを推奨します。退職勧奨に応じる場合に得られる条件を退職勧奨の中で明示することが重要です。

以上

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